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年収の壁を完全攻略!2025年12月改正対応の最新ガイド

2025年12月税制改正で年収の壁はどう変わる?税金・社会保険・配偶者手当の3つの壁を徹底解説。103万円、106万円、130万円、150万円の各境界線での手取り額計算と最適な働き方戦略をご紹介します。

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年収の壁を完全攻略!2025年12月改正対応の最新ガイド

このような話を聞いたことはありませんか?「パートの年収を103万円以内に抑えないと、夫の扶養から外れて損をする」「106万円を超えると社会保険に加入しなければならない」「130万円の壁って何?」

多くの働き手が「年収の壁」について混乱しているのではないでしょうか。特に2025年12月1日から実施される税制改正により、これまでの年収の壁の仕組みが一部変更されるため、正確な情報を把握することがますます重要になっています。

この記事では、厚生労働省発表の「年収の壁について知ろう」をもとに、2025年改正内容を踏まえた最新の年収の壁を徹底解説します。税金の壁、社会保険の壁、配偶者手当の壁という3つの観点から、あなたにとって最適な働き方を見つけましょう。

年収の壁とは?3つの種類を理解しよう

年収の壁とは、年収が一定額を超えることで税金や社会保険料の負担が発生したり、配偶者手当が支給されなくなったりする境界線のことです。

年収の壁の3つの種類

1. 税金の壁

配偶者や扶養親族の年収が一定額を超えると、本人に所得税・住民税が課税されたり、扶養者の税負担が増加する壁

2. 社会保険の壁

年収が一定額を超えると、健康保険・厚生年金の被保険者として社会保険料を負担する壁

3. 配偶者手当の壁

配偶者の年収が一定額を超えると、企業から支給される配偶者手当が支給されなくなる壁

これらの壁は独立して存在するため、年収によっては複数の壁を同時に超えることがあります。

税金の壁:103万円・150万円・201万円

100万円の壁(住民税)

改正内容(2025年12月1日以降)

  • 改正前:合計所得金額35万円以下(給与収入100万円以下)
  • 改正後:合計所得金額45万円以下(給与収入110万円以下)

年収110万円までは住民税が非課税となります。

パートのAさん(年収105万円)のケース

2025年改正後:住民税0円(非課税) 年間負担軽減:約1万円

103万円の壁(所得税)→ 2025年改正で113万円の壁へ

改正内容(2025年12月1日以降)

扶養親族等の所得要件が以下のとおり変更されます:

  • 改正前:合計所得金額48万円以下(給与収入103万円以下)
  • 改正後:合計所得金額58万円以下(給与収入113万円以下)

パートのBさん(年収108万円)のケース

改正前

  • 扶養から外れる
  • 配偶者の扶養控除:0円

改正後

  • 扶養対象として維持
  • 配偶者の扶養控除:38万円
  • 配偶者の年間税負担軽減:約3万8,000円

150万円の壁(配偶者特別控除満額)

改正内容(2025年12月1日以降)

配偶者特別控除の所得要件も連動して変更されます:

  • 改正前:配偶者の合計所得金額48万円以下(給与収入103万円以下)で満額控除
  • 改正後:配偶者の合計所得金額58万円以下(給与収入113万円以下)で満額控除

配偶者控除・配偶者特別控除の新しい仕組み

  • 113万円以下:配偶者控除38万円(満額)
  • 113万円超150万円以下:配偶者特別控除38万円(満額)
  • 150万円超201万円以下:配偶者特別控除(段階的減額)
  • 201万円超:控除なし

年収140万円の配偶者を持つCさんの場合

改正後の配偶者特別控除:38万円(満額) 年間税負担軽減:約3万8,000円

201万円の壁(配偶者特別控除ゼロ)

配偶者の年収が201万円を超えると、配偶者特別控除が完全になくなります。この基準は2025年改正でも変更ありません。

社会保険の壁:106万円・130万円

106万円の壁(企業規模による加入)

2024年10月からの適用拡大

従業員数の基準が以下のとおり変更されました:

  • 2024年9月まで:従業員数101人以上の企業
  • 2024年10月以降:従業員数51人以上の企業

社会保険加入の5つの要件

  1. 週の所定労働時間が20時間以上
  2. 月額賃金が8.8万円以上(年収106万円以上)
  3. 雇用期間が2ヶ月を超える見込み
  4. 学生でない
  5. 従業員数51人以上の企業(2024年10月以降)

パートのDさん(年収110万円、従業員数60人の企業)のケース

社会保険料負担(月額)

  • 健康保険料:約5,500円
  • 厚生年金保険料:約8,400円
  • 合計:約1万3,900円/月(約16万7,000円/年)

手取り額への影響

  • 年収:110万円
  • 社会保険料:約16万7,000円
  • 手取り:約93万3,000円
  • 負担率:約15.2%

130万円の壁(国民健保・国民年金)

106万円の壁の対象外でも、年収130万円を超えると配偶者の扶養から外れ、自分で国民健康保険・国民年金に加入する必要があります。

パートのEさん(年収135万円、従業員数30人の企業)のケース

社会保険料負担(月額)

  • 国民健康保険料:約7,000円(自治体により異なる)
  • 国民年金保険料:1万6,980円(2025年度)
  • 合計:約2万4,000円/月(約29万円/年)

手取り額への影響

  • 年収:135万円
  • 社会保険料:約29万円
  • 手取り:約106万円
  • 負担率:約21.5%

社会保険加入のメリット

社会保険料負担が発生する一方で、以下のメリットがあります:

1. 将来の年金額増加

厚生年金加入により、将来受け取る年金額が増加します。

2. 傷病手当金

病気やケガで働けない場合、給与の約3分の2が最大1年6ヶ月支給されます。

3. 出産手当金

出産前後の休業期間中、給与の約3分の2が支給されます。

4. 労災保険・雇用保険

労災保険や雇用保険にも加入でき、より手厚い保障を受けられます。

配偶者手当の壁:企業により異なる

企業独自の配偶者手当制度

多くの企業では、配偶者の年収が一定額以下の場合に配偶者手当を支給しています。

一般的な支給基準

  • 年収103万円以下:月額1万円~2万円
  • 年収130万円以下:月額5,000円~1万円
  • 年収150万円以下:段階的減額

企業により異なる取扱い

配偶者手当の支給基準は企業によって大きく異なるため、勤務先の制度を必ず確認しましょう。

配偶者手当がある企業で働くFさんの場合

勤務先の配偶者手当制度

  • 配偶者年収103万円以下:月額1万5,000円
  • 配偶者年収130万円以下:月額7,000円
  • 配偶者年収130万円超:支給なし

配偶者年収128万円の場合

  • 配偶者手当:月額7,000円(年額8万4,000円)
  • 税制上の優遇:配偶者特別控除38万円

配偶者年収135万円の場合

  • 配偶者手当:0円
  • 税制上の優遇:配偶者特別控除約30万円

2025年改正による年収の壁への影響

主な変更点

1. 税金の壁の境界線変更

  • 103万円の壁113万円の壁に移動
  • 100万円の壁110万円の壁に移動

2. 社会保険の壁は変更なし

  • 106万円の壁:変更なし
  • 130万円の壁:変更なし

3. 配偶者手当の見直し検討

多くの企業で、税制改正に合わせた配偶者手当制度の見直しが検討されています。

働き方別の最適戦略

年収110万円以下で働きたい場合

メリット

  • 住民税非課税
  • 配偶者の扶養範囲内
  • 多くの企業で配偶者手当支給

注意点

  • 社会保険の被扶養者として配偶者の保険に加入

年収113万円以下で働きたい場合

メリット(2025年改正後)

  • 配偶者の扶養控除対象(38万円控除)
  • 社会保険の被扶養者として維持可能

注意点

  • 住民税が課税される(年収110万円超の場合)

年収150万円以下で働きたい場合

メリット

  • 配偶者特別控除満額(38万円)

注意点

  • 社会保険加入の可能性(106万円の壁)
  • 配偶者手当の減額・停止

年収200万円以上で働きたい場合

検討ポイント

  • 配偶者特別控除の段階的減額
  • 社会保険料負担
  • 将来の年金増額メリット

具体的な手取り額シミュレーション

パート年収120万円(従業員数40人企業)の場合

2025年改正後の手取り計算

  1. 年収:120万円
  2. 所得税:約2,000円(基礎控除58万円、給与所得控除65万円適用)
  3. 住民税:約1万円
  4. 社会保険料:0円(106万円の壁対象外、130万円の壁未満)
  5. 手取り:約118万8,000円

配偶者側のメリット

  • 扶養控除:38万円
  • 税負担軽減:約3万8,000円

パート年収140万円(従業員数70人企業)の場合

2025年改正後の手取り計算

  1. 年収:140万円
  2. 所得税:約4,000円
  3. 住民税:約2万円
  4. 社会保険料:約20万円(健康保険・厚生年金)
  5. 手取り:約118万円

将来の年金増額

厚生年金加入により、将来の年金額が年額約2万円増加

年収の壁計算ツールでの計算活用

最適な年収設定の検討

年収の壁計算ツールを活用して、以下の年収パターンで手取り額を比較してみましょう:

比較パターン

  1. 年収110万円(住民税非課税)
  2. 年収113万円(扶養控除ギリギリ)
  3. 年収130万円(社会保険の壁直前)
  4. 年収150万円(配偶者特別控除満額)

実際にシミュレーションを行うことで、あなたの状況に最適な年収設定を見つけることができます。

家族全体での税負担最適化

夫婦合算での手取り額を計算し、家族全体で最も有利な働き方を検討しましょう。

まとめ

2025年12月の税制改正により、年収の壁の境界線が一部変更されますが、基本的な仕組みは継続されます。

2025年改正後の主要な年収の壁

  1. 110万円の壁:住民税非課税の境界線
  2. 113万円の壁:扶養控除の境界線(改正により10万円アップ)
  3. 106万円の壁:社会保険加入(企業規模による)
  4. 130万円の壁:社会保険加入(全企業共通)
  5. 150万円の壁:配偶者特別控除満額の境界線

最適な働き方を選ぶポイント

  1. 家族全体での手取り額を重視する
  2. 将来の年金増額メリットも考慮する
  3. 配偶者手当の制度を勤務先に確認する
  4. キャリア形成の視点も含めて検討する

年収の壁計算ツールを活用して、あなたの状況に最適な年収設定を見つけ、充実した働き方を実現しましょう。

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