要点(まず把握したいこと)
- 税額表の更新により、月次の源泉額が上下することがある
- 変動の主因は、甲/乙欄の区分、扶養人数、表の種別、社会保険料の反映状況
- 月次での過不足は年末調整で精算。ただし運用ミスは差異を拡大させる
冒頭1〜4ページ相当のチェック観点(現場向け)
- 税額表の年度・版の適用を確認
- 給与計算システムのマスタで「適用開始日」「バージョン」を点検
- 甲欄/乙欄の判定が正しいか
- 扶養控除等申告書の提出有無で区分。主たる給与のみ甲欄、その他は乙欄
- 扶養親族等の人数・区分の更新漏れがないか
- 年途中の異動(例: 19→20歳)や増減を反映
- 表の選択(日額・週額・月額)の整合性
- 月給制=月額表、日給制=日額表、週給=週額表。勤務形態と不一致がないか
- 社会保険料控除額の反映時点
- 標準報酬の定時決定/随時改定、保険料率改定の反映状況を確認
- 中途入社・退職月の取り扱い
- 支給回数・課税対象額の按分。申告書未提出は乙欄処理
- 複数就労(副業)者の区分ミス防止
- 甲欄の重複適用を避ける。サブ給与は乙欄
- 非課税手当・課税手当の切り分け
- 交通費等の非課税枠、課税手当の混入有無を点検
給与明細のセルフチェック(先月比で見る)
- 課税対象額(課税支給 − 社会保険料等)
- 所得税(源泉)金額
- 手取り(振込額)
差異が大きい場合は、甲/乙欄、扶養人数、表の種別(日・週・月)の3点から優先的に検証。
よくあるつまずきと対策
- 前年版の税額表を継続使用
- 年度・版の点検を月初の定例フローに組み込む
- 甲欄の適用漏れ(申告書未提出)
- 入社手続きで提出状況を確実に記録。未提出は乙欄
- 扶養人数の更新漏れ
- 年内の異動や区分変更を月次へ即反映
- 日額表/週額表の誤用
- 勤務形態と表の整合性をダブルチェック
- 社保改定との混同
- 税額表起因の変動と、保険料改定・標準報酬改定は別要因として管理
運用フロー(おすすめ)
- 税額表差し替えと疎通テスト(代表者で先月比較)
- チェックリスト周知(甲/乙欄・扶養・社保・表の種別)
- 初回給与締め前のプレビュー確認(差分が大きい従業員を抽出)
- 年末調整への引継ぎ(申告書回収、控除証明の案内)
注記: 本稿は、更新後の税額表を前提に運用チェック観点を整理したものです。具体的な金額は勤務先の給与条件・扶養状況・社会保険料により異なります。実データで検算し、運用の整合を確かめてください。