副業の確定申告完全ガイド!2025年最新版:20万円の壁と税金計算のすべて
このような質問をよく見かけます。「副業を始めたいけれど、確定申告って必要なの?」「副業で月3万円くらい稼いでいるけど、税金はどのくらいかかるの?」
働き方改革により副業が解禁され、多くの会社員や主婦の方が副業に挑戦するようになりました。しかし、副業による収入には必ず税金の問題が付いてまわります。
この記事では、2025年度最新の税制に対応した副業の確定申告について、実際の計算例を交えながら分かりやすく解説します。副業を始める前に知っておくべき税金の知識を完全マスターしましょう。
副業収入の種類と所得区分
副業収入の基本的な分類
副業による収入は、その性質によって異なる所得区分に分類されます。この分類により、税金の計算方法や控除額が大きく変わるため、非常に重要です。
給与所得として扱われる副業
アルバイトやパート、派遣労働など、雇用契約に基づく副業は給与所得となります。
具体例
- コンビニでの深夜アルバイト
- 土日のイベントスタッフ
- 在宅でのデータ入力業務(雇用契約)
雑所得として扱われる副業
継続性や反復性があるものの、事業として行うほどではない副業は雑所得となります。
具体例
- ブログアフィリエイト
- YouTubeの広告収入
- フリマアプリでの転売
- ライティング業務(業務委託)
- オンライン講師
事業所得として扱われる副業
継続的・反復的に行い、かつ相当の時間と労力をかけている副業は事業所得となります。
具体例
- 個人事業として行うコンサルティング
- 本格的なネットショップ運営
- 専門技能を活かした個人事業
その他の所得区分
不動産所得: 投資用マンションの賃貸収入など 一時所得: 懸賞金、競馬の払戻金など(副業というより臨時収入)
所得区分による税制上の違い
各所得区分により、以下の点で大きな違いがあります:
必要経費の範囲
- 給与所得: 給与所得控除(自動計算)のみ
- 雑所得・事業所得: 実際にかかった経費を控除可能
損益通算
- 給与所得・雑所得: 他の所得との損益通算不可
- 事業所得: 他の所得との損益通算可能
青色申告特別控除
- 給与所得・雑所得: 適用不可
- 事業所得: 最大65万円の控除適用可能
確定申告が必要な条件
20万円の壁:基本的な判定ルール
多くの方が気になる**「20万円の壁」**について詳しく解説します。
確定申告が必要なケース
給与所得者(会社員)の場合:
- 副業による所得が年間20万円を超える場合
- 給与が2,000万円を超える場合
- 2か所以上から給与を受けている場合
20万円の計算方法
重要なのは、「収入」ではなく「所得」で判定することです。
計算式
副業所得 = 副業収入 - 必要経費
具体的な計算例
ケース1:ブログアフィリエイトの場合
月の収入:2万円 年間収入:24万円 年間経費:6万円(サーバー代、書籍代、セミナー参加費など)
副業所得 = 24万円 - 6万円 = 18万円
この場合、所得が20万円以下のため、確定申告は不要です。
ケース2:ライティング業務の場合
月の収入:3万円 年間収入:36万円 年間経費:8万円(パソコン代、通信費、書籍代など)
副業所得 = 36万円 - 8万円 = 28万円
この場合、所得が20万円を超えるため、確定申告が必要です。
住民税は別途申告が必要
見落としがちですが、住民税は所得額に関わらず申告が必要です。
- 副業所得が20万円以下でも住民税の申告は必要
- 市町村の窓口で「住民税の申告書」を提出
- 申告を怠ると延滞税が発生する可能性
副業の税金計算方法
基本的な計算の流れ
税金計算は以下の順序で行います:
- 所得金額の計算: 収入 - 必要経費
- 課税所得の計算: 所得 - 所得控除
- 所得税の計算: 課税所得 × 税率
- 住民税の計算: 課税所得 × 10%
2025年度の税率と控除額
所得税の税率(累進課税)
| 課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
基礎控除(2025年12月1日以降)
- 改正前: 48万円
- 改正後: 58万円
この改正により、実質的な非課税範囲が拡大されます。
具体的な計算例
ケース1:会社員(年収400万円)+ 副業雑所得30万円
本業の給与所得
給与所得 = 400万円 - 134万円(給与所得控除) = 266万円
副業の雑所得
雑所得 = 40万円(収入) - 10万円(経費) = 30万円
合計所得
合計所得 = 266万円 + 30万円 = 296万円
課税所得(2025年12月1日以降)
課税所得 = 296万円 - 58万円(基礎控除) = 238万円
所得税
所得税 = 238万円 × 10% - 97,500円 = 140,500円
住民税
住民税 = 238万円 × 10% = 238,000円
副業分の税負担増加
副業がない場合の課税所得 = 266万円 - 58万円 = 208万円 副業がない場合の所得税 = 208万円 × 10% - 97,500円 = 110,500円 副業がない場合の住民税 = 208万円 × 10% = 208,000円
増加分 = (140,500円 + 238,000円) - (110,500円 + 208,000円) = 60,000円
実質的な税負担率は約20%となります。
ケース2:主婦のパート(年収100万円)+ 副業雑所得50万円
パートの給与所得
給与所得 = 100万円 - 55万円(給与所得控除) = 45万円
副業の雑所得
雑所得 = 60万円(収入) - 10万円(経費) = 50万円
合計所得
合計所得 = 45万円 + 50万円 = 95万円
課税所得(2025年12月1日以降)
課税所得 = 95万円 - 58万円(基礎控除) = 37万円
所得税
所得税 = 37万円 × 5% = 18,500円
住民税
住民税 = 37万円 × 10% = 37,000円
このケースでは、扶養控除の対象から外れる可能性があるため、配偶者の税負担も考慮する必要があります。
青色申告で節税効果を最大化
青色申告特別控除のメリット
副業が事業所得に該当する場合、青色申告により大幅な節税が可能です。
青色申告特別控除額
- 10万円控除: 簡易帳簿での記帳
- 55万円控除: 複式簿記での記帳
- 65万円控除: 複式簿記 + 電子申告(e-Tax)
具体的な節税効果
年間事業所得200万円の場合
白色申告の場合
課税所得 = 200万円 - 58万円(基礎控除) = 142万円 所得税 = 142万円 × 5% = 71,000円 住民税 = 142万円 × 10% = 142,000円 合計 = 213,000円
青色申告(65万円控除)の場合
課税所得 = 200万円 - 65万円(青色申告特別控除) - 58万円(基礎控除) = 77万円 所得税 = 77万円 × 5% = 38,500円 住民税 = 77万円 × 10% = 77,000円 合計 = 115,500円
節税効果:97,500円
青色申告の申請方法
- 開業届の提出:事業開始から1か月以内
- 青色申告承認申請書の提出:申告をする年の3月15日まで
- 帳簿の作成:複式簿記での記帳が必要
経費として認められるもの・認められないもの
副業で経費にできるもの
在宅ワーク系副業
認められる経費
- パソコン・周辺機器の購入費(按分計算)
- インターネット料金(按分計算)
- 電気代(按分計算)
- 専門書籍・雑誌代
- セミナー・研修参加費
- 文房具・事務用品
按分計算の例
パソコン購入費:10万円 副業使用率:30% 経費計上額:10万円 × 30% = 3万円
物販系副業
認められる経費
- 商品の仕入れ代
- 梱包材料費
- 配送料
- 撮影用機材
- 倉庫代・保管料
経費として認められないもの
- プライベートとの区別が困難なもの: 食事代、交際費の大部分
- 副業と関係のないもの: 生活費、娯楽費
- 過度に高額なもの: 業務に見合わない高級品
経費計上時の注意点
領収書の保管
- 7年間の保管義務
- 電子データでの保管も可能
- 日付、金額、支払先、目的を明記
家事按分の根拠
自宅を事務所として使用する場合の按分方法:
面積按分
事務所使用面積:6畳(10㎡) 自宅総面積:60㎡ 按分率:10㎡ ÷ 60㎡ = 16.7%
時間按分
副業作業時間:1日4時間 按分率:4時間 ÷ 24時間 = 16.7%
本業への影響と対策
住民税の徴収方法
副業がバレる主な原因は住民税の金額変化です。
特別徴収と普通徴収
特別徴収(会社が代行)
- 会社が毎月の給与から天引き
- 副業分も含めた住民税額が会社に通知される
- 副業がバレるリスクが高い
普通徴収(自分で納付)
- 副業分の住民税を自分で納付
- 会社には本業分のみの住民税額が通知される
- 副業がバレるリスクを軽減
普通徴収の申請方法
確定申告書の「住民税に関する事項」欄で:
- 「自分で納付」にチェック
- 副業分のみ普通徴収となる
その他の注意点
社内規定の確認
- 就業規則で副業が禁止されていないか確認
- 競業避止義務に抵触しないか確認
- 副業が本業に支障をきたさないよう管理
社会保険の取り扱い
副業が給与所得の場合:
- 月額8.8万円を超えると社会保険加入義務
- 両方の職場で社会保険に加入する場合は按分計算
2025年12月1日以降の税制改正による影響
基礎控除の拡大
改正内容
- 基礎控除:48万円 → 58万円
- 実質的な非課税範囲が10万円拡大
副業への影響
改正前:副業所得48万円まで非課税 改正後:副業所得58万円まで非課税
扶養控除要件の変更
改正内容
- 扶養親族の所得要件:48万円以下 → 58万円以下
- 給与収入ベース:103万円以下 → 123万円以下
主婦の副業への影響
- パート収入と副業所得の合計で123万円まで扶養に残れる
- より積極的な副業展開が可能
具体例
改正前
パート収入:80万円(給与所得25万円) 副業所得:23万円 合計所得:48万円(扶養対象)
改正後
パート収入:100万円(給与所得45万円) 副業所得:13万円 合計所得:58万円(扶養対象)
または
パート収入:80万円(給与所得25万円) 副業所得:33万円 合計所得:58万円(扶養対象)
確定申告の実際の手続き
必要書類の準備
給与所得者の場合
本業関係
- 源泉徴収票
- 給与明細書(12か月分)
副業関係
- 支払調書(あれば)
- 収入金額の集計表(自作)
- 必要経費の領収書・レシート
作成すべき帳簿
雑所得の場合
- 収入の記録(日付、相手先、金額、内容)
- 支出の記録(日付、支払先、金額、内容)
事業所得の場合
- 青色申告決算書
- 貸借対照表(65万円控除の場合)
申告書の作成方法
国税庁「確定申告書等作成コーナー」の活用
- 基本情報の入力
- 所得の入力(給与所得 + 雑所得または事業所得)
- 所得控除の入力
- 税額の自動計算
- 電子申告または印刷・郵送
申告期限
- 所得税: 翌年2月16日~3月15日
- 住民税: 翌年3月15日まで(所得税と同時申告可)
納税方法
所得税の納付方法
- 現金納付: 金融機関、税務署、コンビニ
- 口座振替: 4月中旬頃に自動引き落とし
- 電子納税: e-Tax利用
- クレジットカード: 手数料が発生
住民税の納付方法
- 普通徴収: 年4回の分割納付
- 一括納付: 6月に全額納付
実践的な副業税務戦略
収入レベル別の最適戦略
年間所得20万円以下の場合
戦略
- 経費をしっかり計上して20万円以下に抑える
- 確定申告不要だが住民税申告は必要
- 翌年の事業拡大に備えて帳簿は作成
年間所得20万円~100万円の場合
戦略
- 白色申告でも十分
- 経費の適正計上で節税
- 事業拡大を見据えて青色申告の準備
年間所得100万円以上の場合
戦略
- 青色申告による大幅節税
- 事業所得での申告を検討
- 個人事業主として本格的な税務管理
損益通算の活用
事業所得の場合、赤字を他の所得から差し引き可能:
例
給与所得:300万円 事業所得:-50万円(初年度の設備投資等) 合計所得:250万円
初年度の大きな設備投資により、総合的な税負担を軽減できます。
まとめ
副業による収入には必ず税金の問題が伴いますが、正しい知識を持つことで適切な税務処理と効果的な節税が可能です。
重要なポイントの再確認
基本的な判定ルール
- 副業所得20万円超で確定申告必要
- 住民税は金額に関わらず申告必要
- 所得区分により税制上の取り扱いが大きく異なる
2025年度の税制改正効果
- 基礎控除58万円により実質的な非課税範囲が拡大
- 扶養控除要件の緩和で主婦層の副業展開が有利に
効果的な節税戦略
- 青色申告による最大65万円控除
- 適正な経費計上による所得圧縮
- 損益通算の活用
本業への影響対策
- 住民税の普通徴収選択
- 社内規定の事前確認
- 社会保険の重複加入に注意
副業を始める際は、まず自分の副業がどの所得区分に該当するかを正しく判断し、それに応じた税務戦略を立てることが重要です。ZEIKABEシミュレーターを活用して、実際の税負担を事前に計算し、安心して副業にチャレンジしてください。
税制は複雑ですが、正しい知識と適切な準備により、副業による収入増加を最大限に活かすことができます。分からないことがあれば税理士等の専門家に相談し、適正な申告を心がけましょう。