2025年12月から給与所得控除が改正！最低額65万円への引き上げ効果を詳解
このような話を聞いたことはありませんか？「2025年度から税金が安くなるらしいけど、給与所得控除って何が変わるの？」パート・アルバイトで働く方や、中小企業にお勤めの方から、このような質問をよく見かけます。
確かに、令和7年度税制改正では給与所得控除制度に大きな変更があり、特に年収162.5万円以下の方には嬉しい減税効果が期待できます。しかし、具体的にどれくらい税負担が軽くなるのか、いつから適用されるのかが分からず不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、国税庁の正式発表に基づき、2025年12月1日から始まる給与所得控除の改正内容を詳しく解説し、年収別の具体的な軽減効果をシミュレーションでお示しします。年末調整への影響も含めて、実務的な観点からも分かりやすく説明いたします。
給与所得控除改正の核心：最低保障額が10万円アップ
改正の概要
令和7年度税制改正における給与所得控除の最大のポイントは、最低保障額の大幅引き上げです。
改正内容の詳細：
| 年収区分 | 改正後（2025年12月〜） | 改正前（2025年11月まで） | 軽減額 |
|---|---|---|---|
| 162.5万円以下 | 65万円 | 55万円 | +10万円 |
| 162.5万円超〜180万円以下 | 収入×40%－10万円 | 収入×40%－10万円 | 変更なし |
| 180万円超〜190万円以下 | 収入×30%＋8万円 | 収入×30%＋8万円 | 変更なし |
| 190万円超 | 既存の計算式を維持 | 既存の計算式を維持 | 変更なし |
この改正により、年収162.5万円以下の全ての給与所得者が一律10万円の給与所得控除額アップの恩恵を受けることができます。
なぜこの改正が行われたのか
この改正の背景には、低・中所得層への税負担軽減という政策意図があります。特に、パートタイムで働く方や新社会人、地方の中小企業で働く方々の実質手取り額を増やし、消費活動の活性化を図る狙いがあります。
給与所得控除は「働くために必要な経費」という性質を持つため、最低限の保障額を引き上げることで、より多くの勤労者の生活を支援する効果が期待されています。
年収別軽減効果の詳細シミュレーション
年収100万円のパート勤務Aさんのケース
基本情報：
- 年収：100万円
- 年齢：35歳（扶養範囲内で勤務）
- 家族構成：配偶者の扶養に入っている
軽減効果：
| 項目 | 改正前 | 改正後 | 軽減額 |
|---|---|---|---|
| 給与所得控除 | 55万円 | 65万円 | +10万円 |
| 給与所得 | 45万円 | 35万円 | -10万円 |
| 基礎控除後の課税所得 | 0円（非課税） | 0円（非課税） | 変化なし |
Aさんの場合、もともと基礎控除により所得税が非課税だったため、今回の改正による直接的な減税効果はありません。しかし、給与所得が35万円となることで、より安心して扶養範囲内で働くことができるようになります。
年収150万円の契約社員Bさんのケース
基本情報：
- 年収：150万円
- 年齢：28歳（単身者）
- 雇用形態：契約社員
軽減効果：
| 項目 | 改正前 | 改正後 | 軽減額 |
|---|---|---|---|
| 給与所得控除 | 55万円 | 65万円 | +10万円 |
| 給与所得 | 95万円 | 85万円 | -10万円 |
| 基礎控除後の課税所得 | 47万円 | 37万円 | -10万円 |
| 所得税額 | 23,500円 | 18,500円 | -5,000円 |
Bさんの場合、年間5,000円の所得税軽減効果があります。これは月額約417円の手取り増加に相当します。
年収160万円の正社員Cさんのケース
基本情報：
- 年収：160万円
- 年齢：25歳（新卒入社2年目）
- 雇用形態：正社員
軽減効果：
| 項目 | 改正前 | 改正後 | 軽減額 |
|---|---|---|---|
| 給与所得控除 | 55万円 | 65万円 | +10万円 |
| 給与所得 | 105万円 | 95万円 | -10万円 |
| 基礎控除後の課税所得 | 57万円 | 47万円 | -10万円 |
| 所得税額 | 28,500円 | 23,500円 | -5,000円 |
| 住民税額 | 47,000円 | 37,000円 | -10,000円 |
| 合計軽減額 | - | - | -15,000円 |
Cさんの場合、所得税と住民税を合わせて年間15,000円の軽減効果があります。これは月額1,250円の手取り増加に相当し、新社会人にとっては嬉しい減税となります。
年末調整と源泉徴収への実務的影響
2025年の年末調整における特別対応
今回の改正で注意すべき点は、適用開始時期が2025年12月1日という点です。これにより、2025年の年末調整では特別な処理が必要になります。
2025年の源泉徴収事務の流れ：
- 2025年1月〜11月：従来通りの源泉徴収税額表を使用
- 2025年12月の年末調整：新しい「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を使用
- 過納税額の精算：1月〜11月の源泉徴収税額と年末調整後の正確な税額との差額を還付
年末調整での具体的な処理方法
給与担当者の方へのポイント：
- 2025年11月までは既存の源泉徴収税額表をそのまま使用
- 12月の年末調整時に新しい給与所得控除額で1年分を再計算
- 多くの場合、年収162.5万円以下の従業員には還付が発生
- 2026年1月からは新しい源泉徴収税額表を使用開始
従業員への影響
年収162.5万円以下の従業員の方は：
- 2025年12月の給与で還付金を受け取れる可能性が高い
- 2026年1月以降は毎月の源泉徴収税額が少なくなる
- 年末調整の手続き自体に変更はない
他の税制改正との相乗効果
今回の給与所得控除改正は、単独で実施されるものではありません。令和7年度税制改正では、基礎控除の見直しや特定親族特別控除の新設など、複数の減税措置が同時に実施されます。
相乗効果のポイント：
- 基礎控除の段階的引き上げとの組み合わせで、より大きな減税効果
- 扶養控除制度の拡充により、子育て世代への支援も強化
- 全体として中低所得層への税負担軽減が図られる設計
これらの改正を組み合わせることで、年収300万円以下の世帯では年間数万円の税負担軽減が期待できるケースも多くなります。
年収の壁計算ツールでの確認方法
実際にご自身の状況での軽減効果を確認したい場合は、年収の壁計算ツールをご活用ください。2025年度対応版では、今回の給与所得控除改正も反映されており、改正前後の税額を比較することができます。
シミュレーション手順：
- 現在の年収と家族構成を入力
- 2025年12月1日以降の税額を確認
- 改正前との比較で軽減効果を確認
- 月額の手取り増加額もチェック可能
特に年収150万円前後の方は、実際にシミュレーションで具体的な軽減額を確認されることをお勧めします。
まとめ
2025年12月1日から始まる給与所得控除の改正は、年収162.5万円以下の給与所得者にとって大きなメリットをもたらします。最低保障額が55万円から65万円へ10万円引き上げられることで、年間5,000円〜15,000円程度の税負担軽減が期待できます。
重要なポイントを整理すると：
- 年収162.5万円以下の方は一律10万円の給与所得控除額アップ
- 所得税・住民税合わせて年間5,000円〜15,000円程度の軽減効果
- 2025年12月の年末調整で過納税額の還付が発生する可能性
- 2026年1月からは毎月の源泉徴収税額も軽減
パートタイムで働く方、新社会人、中小企業で働く方々にとって、この改正は家計の負担軽減に直結する嬉しいニュースといえるでしょう。年収の壁計算ツールを活用して、ぜひご自身の具体的な軽減効果を確認してみてください。