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住宅借入金等特別控除申告書の記載方法完全ガイド!2025年度も年末調整で住宅ローン控除を受ける手順

2025年度対応版。住宅借入金等特別控除申告書の具体的な記載方法から必要書類まで徹底解説。年末調整で住宅ローン控除を確実に受けるための実務ガイドをお届けします。

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住宅借入金等特別控除申告書の記載方法完全ガイド!2025年度も年末調整で住宅ローン控除を受ける手順

このような質問をよく見かけます。「住宅ローン控除の2年目からの年末調整、書類の書き方がよく分からない」「住宅借入金等特別控除申告書って何をどう記載すればいいの?」

住宅を購入して住宅ローンを組んだ方の多くが、初年度の確定申告は何とか乗り越えたものの、2年目以降の年末調整で提出する「住宅借入金等特別控除申告書」の記載方法に頭を悩ませています。

この申告書は正しく記載しないと住宅ローン控除を受けることができず、年間数十万円の控除を逃してしまう可能性があります。一方で、正しく記載すれば年末調整だけで控除を受けられる便利な制度でもあります。

この記事では、2025年度に対応した住宅借入金等特別控除申告書の記載方法を、必要書類の見方から具体的な記入例まで詳しく解説します。企業の給与担当者の方にとっても、従業員からの質問に適切に対応できる実務的な内容となっています。

2025年度の住宅ローン控除の変更点

2025年度の住宅ローン控除制度について、まず押さえておくべき重要な変更点を確認しましょう。

控除率と控除期間

控除率:0.7% 2022年度から住宅ローン控除率は1.0%から0.7%に変更されており、2025年度も継続しています。年末残高の0.7%が所得税額から控除されます。

控除期間

  • 新築住宅:原則13年間
  • 既存住宅(中古):10年間

借入限度額(2025年度)

住宅の性能や取得時期によって借入限度額が設定されています:

新築住宅

  • 認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅):5,000万円
  • ZEH水準省エネ住宅:4,500万円
  • 省エネ基準適合住宅:4,000万円
  • その他の住宅:3,000万円

既存住宅(中古)

  • 認定住宅等:3,000万円
  • その他の住宅:2,000万円

所得制限

2025年度も年間所得2,000万円以下の方が対象となります。所得が2,000万円を超える年については控除を受けることができません。

住宅借入金等特別控除申告書とは

住宅借入金等特別控除申告書は、住宅ローン控除を受けるために年末調整で提出する書類です。

初年度と2年目以降の違い

初年度(1年目) 住宅ローン控除の適用1年目は必ず確定申告が必要です。税務署で手続きを行い、控除証明書等の交付を受けます。

2年目以降 確定申告をした翌年から、税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」が送付されます。この申告書を年末調整で提出することで、確定申告をせずに控除を受けることができます。

申告書の種類

送付される申告書には以下の種類があります:

  1. 住宅借入金等特別控除申告書(一般的な住宅ローン控除用)
  2. 特定増改築等住宅借入金等特別控除申告書(バリアフリー改修工事等用)

ほとんどの方は1番目の一般的な申告書を使用することになります。

住宅借入金等特別控除申告書の具体的な記載方法

申告書の記載方法を、各欄ごとに詳しく解説します。

基本情報欄の記載

氏名・住所・個人番号 通常の年末調整書類と同様に、正確に記載してください。住所は住宅ローン控除の対象となっている住宅の所在地と一致している必要があります。

適用年 控除を受ける年を記載します。2025年分の年末調整では「令和7年」と記載します。

住宅借入金等の内容欄

この欄では、住宅ローンの詳細情報を記載します。

借入先の名称 住宅ローンを借りている金融機関名を正確に記載してください。 例:「○○銀行」「住宅金融支援機構」

借入金の年末残高 年末残高等証明書に記載されている金額を転記します。複数の借入がある場合は、それぞれ記載してください。

居住開始年月日 実際にその住宅に住み始めた年月日を記載します。住民票の異動日や引渡日とは異なる場合がありますので注意してください。

控除額の計算欄

適用年数 住宅ローン控除を受けている年数を記載します。2年目なら「2」、3年目なら「3」となります。

控除期間 新築住宅は通常「13」、中古住宅は通常「10」を記載します。

年末残高等証明書の金額 金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」に記載されている金額を転記します。

控除対象借入金等の年末残高 上記の金額のうち、控除の対象となる金額を記載します。通常は年末残高等証明書の金額と同じですが、借入限度額を超える場合は限度額が上限となります。

連帯債務の場合の記載方法

夫婦で連帯債務により住宅ローンを組んでいる場合は、特別な記載が必要です。

按分割合の記載 連帯債務の場合、借入金の年末残高に自分の負担割合を乗じた金額を記載します。

例:年末残高3,000万円、自分の負担割合50%の場合 → 3,000万円 × 50% = 1,500万円を記載

証明書の確認 連帯債務の場合、年末残高等証明書にも按分割合が記載されているので、必ず確認してください。

必要書類と準備すべき情報

住宅借入金等特別控除申告書の記載には、以下の書類と情報が必要です。

必須書類

1. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 金融機関から毎年10月頃に送付される最も重要な書類です。以下の情報が記載されています:

  • 年末時点での借入残高
  • 借入先の情報
  • 家屋や土地の取得対価の額
  • 連帯債務の場合の按分割合

2. 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書 税務署から送付される申告書本体です。通常、控除期間分がまとめて送付されます。

準備すべき情報

居住開始年月日 実際に住み始めた正確な年月日を確認しておきましょう。

住宅の取得価額 土地・建物それぞれの取得価額を把握しておくと、記載時にスムーズです。

借入金の詳細

  • 借入先の正式名称
  • 借入目的(土地取得資金、建物取得資金等)
  • 連帯債務の場合の負担割合

年末調整での提出方法

記載が完了した申告書の提出方法について説明します。

提出期限

年末調整の書類提出期限に合わせて提出します。多くの企業では11月から12月上旬に設定されています。

提出書類

  1. 記載済みの住宅借入金等特別控除申告書
  2. 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書(原本)

年末残高等証明書は原本の提出が必要ですので、コピーを取ってから提出することをお勧めします。

電子申告の場合

近年、年末調整の電子化が進んでいます。電子申告システムを利用する場合:

  • 申告書の内容をシステムに入力
  • 年末残高等証明書のデータまたはスキャンデータを添付
  • 企業の指示に従って提出

企業担当者の確認ポイント

給与担当者が従業員から提出された書類を確認する際のポイントを説明します。

基本的な確認事項

記載内容の整合性

  • 氏名、住所、個人番号の正確性
  • 年末残高等証明書の金額と申告書の記載金額の一致
  • 計算結果の正確性

添付書類の確認

  • 年末残高等証明書の原本添付
  • 証明書の有効期限(通常、その年の12月31日現在の残高を証明)

よくある不備と対応

金額の記載ミス 年末残高等証明書の金額を間違って転記するケースがよくあります。千円単位、万円単位を間違えないよう注意が必要です。

連帯債務の按分計算ミス 夫婦それぞれが申告する場合、按分割合の合計が100%になっているか確認しましょう。

借入限度額超過 高額な住宅ローンの場合、控除対象借入金額が限度額を超えていないか確認が必要です。

よくある記載ミスと対応方法

実際によく見られる記載ミスとその対応方法を紹介します。

金額関連のミス

年末残高の桁違い 最も多いミスは、年末残高等証明書の金額を転記する際の桁違いです。

例:証明書記載額「25,340,000円」を「2,534,000円」と記載 → 控除額が10分の1になってしまいます

対応方法: 記載後は必ず証明書と見比べて確認する

連帯債務の按分忘れ 連帯債務者が証明書記載の全額をそのまま記載してしまうケース。

例:年末残高3,000万円、負担割合50%なのに3,000万円と記載 → 本来1,500万円と記載すべき

期間関連のミス

控除年数の間違い 何年目の控除なのかを間違えるケース。

例:実際は5年目なのに「4」と記載 → 控除期間の管理が重要

居住開始年月日の記載ミス 引渡日と居住開始日を混同するケース。

記載ミスが発覚した場合の対応

年末調整での対応 記載ミスに気づいた場合は、速やかに訂正版を提出します。企業の年末調整処理前であれば間に合います。

年末調整後の対応 年末調整処理後にミスが発覚した場合は、確定申告で訂正することになります。

過少申告の場合 控除額が本来より少なかった場合は、確定申告で正しい控除額を申告できます。

過大申告の場合 控除額が本来より多かった場合は、修正申告が必要になります。

控除期間満了後の手続き

住宅ローン控除の控除期間が終了した後の手続きについて説明します。

控除期間の確認

新築住宅(13年間) 居住開始から13年目の12月31日まで控除を受けることができます。

中古住宅(10年間) 居住開始から10年目の12月31日まで控除を受けることができます。

控除期間満了時の注意点

申告書の送付停止 控除期間が満了すると、税務署からの申告書送付は自動的に停止されます。

借り換え時の取り扱い 住宅ローンの借り換えを行った場合、一定の条件を満たせば継続して控除を受けることができますが、新たな手続きが必要な場合があります。

増改築した場合 控除期間中に増改築を行った場合は、その工事に係る借入金についても別途控除を受けられる可能性があります。

具体的な計算例とシミュレーション

実際の計算例を使って、住宅ローン控除額の算出方法を説明します。

計算例1:標準的なケース

条件

  • 新築一戸建て(認定住宅以外)
  • 年末借入残高:2,800万円
  • 控除3年目
  • 年間所得税額:25万円

計算

  1. 控除対象借入金額:2,800万円(借入限度額3,000万円以下)
  2. 控除額:2,800万円 × 0.7% = 19.6万円
  3. 実際の控除額:19.6万円(所得税額25万円 > 控除額19.6万円)

→ 19.6万円の控除を受けることができます

計算例2:借入限度額を超えるケース

条件

  • 新築一戸建て(認定住宅以外)
  • 年末借入残高:3,500万円
  • 控除5年目
  • 年間所得税額:30万円

計算

  1. 控除対象借入金額:3,000万円(借入限度額で上限)
  2. 控除額:3,000万円 × 0.7% = 21万円
  3. 実際の控除額:21万円(所得税額30万円 > 控除額21万円)

→ 21万円の控除を受けることができます

計算例3:連帯債務のケース

条件

  • 新築マンション(ZEH水準省エネ住宅)
  • 年末借入残高:4,000万円
  • 夫の負担割合:60%、妻の負担割合:40%
  • 控除7年目

夫の計算

  1. 控除対象借入金額:4,000万円 × 60% = 2,400万円
  2. 控除額:2,400万円 × 0.7% = 16.8万円

妻の計算

  1. 控除対象借入金額:4,000万円 × 40% = 1,600万円
  2. 控除額:1,600万円 × 0.7% = 11.2万円

→ 夫婦合計で28万円の控除を受けることができます

シミュレーションの活用

年収の壁計算ツールを使って、あなたの住宅ローン控除額を実際に計算してみましょう。年収や借入残高を入力するだけで、正確な控除額と手取り収入への影響を確認できます。

特に以下のような場合はシミュレーションが有効です:

  • 借入限度額近くまで借りている場合
  • 連帯債務で夫婦それぞれの最適な負担割合を知りたい場合
  • 所得税額が少なく、住民税からの控除も含めて確認したい場合

まとめ

住宅借入金等特別控除申告書の記載は、正確な情報の転記と計算が重要です。以下のポイントを押さえておきましょう:

記載時の重要ポイント

  1. 年末残高等証明書の金額を正確に転記する
  2. 連帯債務の場合は按分割合を適用する
  3. 借入限度額を超える場合は限度額で計算する
  4. 控除年数と居住開始年月日を正確に記載する

提出時の注意事項

  • 年末残高等証明書の原本を忘れずに添付
  • 企業の提出期限を守る
  • 記載内容に不安がある場合は事前に確認

企業担当者の確認ポイント

  • 証明書との金額一致を確認
  • 計算結果の妥当性をチェック
  • 添付書類の完備を確認

住宅ローン控除は年間数十万円の大きな節税効果がある制度です。正しい手続きを行うことで、確実に控除を受けることができます。記載に不安がある場合は、税務署や企業の担当者に相談することをお勧めします。

2025年度も住宅ローン控除制度は継続しており、適切な手続きを行えば長期間にわたって大きな税負担軽減効果を得ることができます。この記事を参考に、確実に控除を受けられるよう手続きを進めてください。

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